つれづれの窓から

日々かんがえたこと

自炊と胡蝶蘭

近ごろ、自分のために料理ができるようになった。

手の込んだものではない。

簡単なものだ。

 

それでも、自分のためにあたたかなものをつくると心地いい。

 

よくやった!でかした!という、肯定的な感情と

あたたかさが入り混ざり、気持ちが落ち着く。

 

寒い日は生姜を入れてやると自分が喜ぶ。

 

そういえば、

はじめて胡蝶蘭のつぼみを見た。

下向く様子はまるっこい実のようで愛らしい。

 

 

君をのせて

今更ながら気づいた。

ラピュタの『君をのせて』が好き。

 

特に「母さんがくれた あのまなざし」で思い描く情景は

きっと聴く人それぞれで違うんだろうけど、

「まなざし」の印象自体はほとんど同じなんだろうな。

 

「あの」という言葉で過去の記憶を

自然と思い出させているのもあると思う。

 

 

時代や人によって背景は変わるけど

変わらない1つのものを歌詞に込めると

ずっと愛され続ける歌になるのかな。

 

冷凍の中華がゆを間違えて

ごはんにかけた今日、考えていた。

ヘアブラシの手入れ

自分が使っているものを手入れすることは

自分を大切にすることにつながると思う。

 

 

普段は慌ただしかったり、疲れていたりで

なかなか手が回っていなかった

ヘアブラシのほこりが気にかかり、掃除を決行した。

 

メイクブラシを洗っているときに、ふっと思い出したのだ。

 

やる気を引き上げると

引き出しにしまっていたブラシクリーナーを取り出した。

クリーナーには、Lの形をした針金が何本かついている。

 

目を凝らしながら熱心にほこりをかきだす。

 

何度もやっているうちに

すっかり夢中になって

頭の中で考え事をしながら手を動かした。

 

完璧ではないけど、そこそこ綺麗になって満足。

 

一連を済ませ、

整えられたブラシたちを見ると

お風呂あがりのような爽快感に気づいた。

 

 

曇りの光

部屋の電気を消し、こたつから窓を眺めると

鈍い白色の光が輝いていた。

曇りの日もうつくしい。

 

電気の明るさに紛れ、見つけられずにいたけど

既にうつくしい光は差していたんだな。

 

朝、カーテンから朝焼けが見えなくても

しょんぼりする必要はないのかもしれない。

 

好きなドラマのセリフを思い出した。

 

でもどうして曇ってると天気悪いって言うんですかね。

いいも悪いも、曇りは曇りですよね。

 ー『カルテット』第1話

 

 

薄氷とホットケーキ

雪はかたまりや固体って感じだけど、氷はどうしたって面だと感じる。

例えば、路面に広がる薄氷。

冷凍庫にあるブロック状の氷もかたまりではありつつ、面の印象が強い。

直線的だからかな。

 

あれこれ考えながら歩いていると、温かくて香ばしい香りが漂ってきた。

思わず振り返ると、やっぱりパン屋さん。

 

今日は家にあったホットケーキを焼いて食べることにした。

自分の顔を見比べて

顔つきってこんなに変わるんだ。

自分の変化に驚き、数秒の間じっと見つめていた。

 

 

しばらく前、ほんのり湿っぽい引き出しの中から

久しぶりにパスポートを取り出した。

 

期限はばっちり切れていた。

パスポートセンターにいかなきゃな~と

手続きのことを頭は考えて始めていた矢先、

目は異常をキャッチした。

 

これって私の顔……?

 

なんだか野心に満ち溢れ、ギラギラとした瞳。

不敵に上がっている口角。

怖いものなど何もないのだろう。

どんな困難にも果敢に立ち向かっていきそうで心配になる。

 

なんでもかんでも正面から戦って傷つかなくてもいいんだよ!

思わず心の声をかけそうになったが、

やはりギラリと笑みを浮かべているのは、昔の私だった。

 

社会での挫折をほとんど知らなかったころ。

何者かになりたくて、必死にバタバタともがいていた。

自分の力量もわからないまま、背伸びばかりした。

 

そのころの自分が鮮明に形として写しとられていて

だんだんと驚きの上に恥ずかしさも加わってきた。

 

 

更新した新しいパスポートを受け取った後、

ドキドキしながら見比べてみた。

過去と現在の表情を並べる。初めてで新鮮だ。

 

普段、鏡に映る自分の顔に客観的な感想をもつことは少ないが、

こうして見ると明確だ。

 

目はぼんやりと現状を受け入れ、

口はきもち、やや笑っている。

 

ギラギラがとれて無害そうな顔をしている。

 

ここまで変わるんだな。

月日の流れと社会の荒波は、私を確実に丸くした。